いよいよ通いなれた保育施設を卒園し、新しい一歩を踏み出す時が近づいてきました。
この時期の子どもたちは、入学前の期待と不安でいっぱい。
怒りっぽかったり、すぐ泣きだしたりと気分の浮き沈みが大きくなったりする子どもさんも。
そこで、子どもたちのワクワクドキドキな心と新しい世界に飛び込む不安でいっぱいな心に、どう接していったらいいかを、現役保育士の先生にお聞きしました。
あれ? いつもと違うなぁ
Q:卒園が近づいてきて、子どもたちの様子が何かいつもと違うなぁと感じることってありますか?

A:「小学校に行ったら〇〇をがんばる!」とか「〇〇する!」と小学校に行くことを楽しみにしている子もいれば、仲良しのお友達と離れてしまうことが寂しくて「卒園したくない!」という子もいますね。
それと、個人差はありますが、どの子も少なからずプレッシャーや不安はあると思います。
何かが不安な気持ちというのは、まだ6歳では分からないので、イライラしてお友達と衝突したり、すぐ泣いたりという子がいつもより増えるような感じはします。
寂しい・不安・期待。子どもの心は大忙し
Q:プレッシャーというのは、そもそも何に対してのプレッシャーですか?

A:プレッシャーというよりも不安のほうが近いかもしれないですね。
何に対してというのは、一人一人違うので一概には言えないんですけど、例えば大人も初めての職場に行く前は「どんな職場なんだろー」とか「どんな人がいるんだろー」とかいろいろ不安ですよね。
多分、それと同じような感じだと思います。大人の場合はその不安の原因がはっきりとわかるので、対処方法も考えれるんですけどね。
だから、保育の現場でも、あまり「もうすぐ1年生なんだから」という言葉を使わないようにする場合もあります。ご家庭でもゆっくり話を聞いてあげたり、一緒に学校までの道を散歩したり、とにかく一緒にいる時間を作ってあげるといいんじゃないかなぁと思います。
「寂しい」にどう対応してあげたらいいの?
Q:「仲良しのお友達と離れてしまうことがつらい」とか「小学校に知っているお友達がいないから行きたくない」という時、親はどのような言葉をかけてあげたらいいですか?

子どもさんの不安な気持ちや話をよく聞いてあげたり、いつもよりスキンシップを多くとってあげたりと、お母さん・お父さんと一緒にいる時間を持ってあげてみてはどうでしょうか。
子どもと同じく親の私も不安なんです・・
Q:子どもの性格だとは思うんですけど、マイペースすぎたり、お友達づきあいが下手だったり、まだ読み書きができなかったりで、小学校に入ってもやっていけるか心配な保護者さんもいると思いますが…。

A:読み書きについては、他の子どもさんと比べるのではなくて、自分の名前の読み書きができたらいいと思いますよ。
読み書きは興味をもつと、すごい勢いで習得していくので、今は本を読むことやお手紙を書くとか、楽しんで興味を持ってもらえるようにしてはどうでしょうか。
また、マイペースすぎる・お友達づきあいが苦手というのも、保育(幼稚園)生活ができていれば問題ないと思いますよ。
でも、少しでも気になることや不安なことがあったら、担任の先生へ気軽に相談してみてはどうでしょう。
家ではできないのに保育施設では、ちゃんとできてる!ってことも結構ありますからね。
保育施設での様子と家庭での様子を保育士と話してみると、意外な面が見えたり、解決策や対応策もわかることがあるので、ぜひ世間話のついででもいいので、不安なことがあれば担任の先生に話してみてくださいね。
回答してくれた方のご紹介
ひろ先生
徳島県在住。保育士歴18年
徳島市内の保育所で年長さんの担任を何度も経験したことがある現役保育士
保育のモットーは「子どもたちと毎日笑顔で過ごすこと」
最後に…
保育施設で「1年生になったら…」という話をお友達同士でしている時に、表情が曇る子どもさんもいるという話も、ひろ先生のインタビューでは出てきました。
小さいながらに、新しい世界へ一歩踏み出すことへの不安に一生懸命立ち向かっているんだなぁと、あらためて子どもの心に寄り添う大切さがわかりました。
そうは言っても、やっぱりお母さん・お父さんも「新1年生」だから不安にもなりますよね。でもお母さん・お父さんが不安になると、子どももどんどん不安になるものです。
「小学校は楽しいよ!」を無理強いするのではなくて、いつもより一緒にいる時間を多めにとって、子どものいっぱいいっぱいの気持ちたくさん聞いてあげて、理解してあげることが子どもの不安な気持ち軽くしてあげられる一番の方法かもしれないですね。