就学準備コラムもいよいよ最終回。
これまで、小学校1年生の生活や就学前にしておいたほうがいいことなどを元・現役問わず保育士の先生や小学校の先生など専門の方にお話を聞いてきました。
どの先生方もおっしゃるのが「子どもさんの気になるところがあれば気軽に相談してください」でしたが、そもそも「気になるところ」ってどういうところ?と思われた保護者の方もいらっしゃるかと思います。そこで、今回は保育士として療育施設に勤務している先生にお話をお聞きしました。
気になるところ=就学後に子どもが困るかもしれないところ

Q:よく「就学前にお子さんの気になるところがあれば担任に相談しておいたほうがいい」と聞きますが、気になるところってどういうところ?
A:確かに日ごろ保護者の方が感じられている「子育ての大変さ」と、ここでいう「気になるところ」の違いが分かりにくいので、「こんなこと相談していいのかな」と思われるかもしれませんね。
気になるところの例としては「落ち着きがない」「自分の思いがうまく伝えられない」「文字や数に興味がない」「気持ちの切り替えが苦手」「緊張が高すぎる」等が挙げられます。これらのことは、学習と集団活動がメインになる学校という環境では、子どもさんの困り感につながることもあります。
先生からアドバイスやヒントを

Q:気になるといえば気になる程度で、忙しい先生に相談するのも申し訳ないなぁと思って、なかなか相談までいかなくて。
A:「なんせ片付けもしないんです!」「テレビばっかりみて呼んでも返事しないんです!!」といった内容のことでも、先生から「子どもさんにこんな伝え方してみませんか?」といったアドバイスやヒントをいただけるかもしれませんので、モヤモヤをひきずらないように、ぜひ担任の先生や園長先生にご相談してみてください。
ただ、先生がたくさんの子どもさんの対応をされている登園・降園時にいきなりご相談されると先生も十分なアドバイスがしにくい場合もあるかもしれないので、まずは事前に、聞いてほしいことや聞きたいことがあると伝えておいたほうがいいかなと思います。
通園先に専門家を呼んで相談や見てもらうことも

Q:家では多動かな…と思うことが度々なので、担任に相談してみたけど、園ではそんなことないと言われました。でもやっぱり気になってしまうんです。
A:大人でもそうですが、お家以外の場所では無意識的な緊張感もあるので、子どもさんの姿に多少のギャップが見られるものです。
でも、そのギャップがあまりにも大きい場合、家庭環境や生活習慣、発達のアンバランスさ等が関係していることもあります。
担任の先生からのお話では「園ではそんなことはない」で、それ以上話が進めにくいのであれば、具体的に「家ではこうなんだけど、どう対応したらいいかわからない」と聞いてみて、保育のプロである先生に関わり方のコツを教えていただくのはどうでしょうか。
また、巡回相談の先生や保健師さんに通園先に来てもらったり、発達についての専門にみてもらえる機関に行ってみることで、保育所の先生とはまた違った視点で子どもさんをみてもらえたりするので、担任の先生にご相談してみてくださいね。
通園先の先生もずっと見守ってきた子どもさんの今後を思って

Q:担任から「就学前に専門家に見てもらいませんか?」と言われました。家では特に気になることがはなかったので、そう言われたことがすごくショックです。専門家に見せるということはどういうことなんですか?
A:お家では特に気にあることがなく、突然、先生からの「専門家に…」といったお話だったのであれば、大変戸惑われたことと思います。
ただ、子どもさんが1日の大半を過ごしている通園先の先生も保護者の方と同じように、子どもさんの成長を見守ってこられ、そして今後の発達や就学後のことを心配してくださっているからこそのお話だとも思います。
「専門家に見てもらう」と一口に言っても様々なパターンがありますが、代表的なパターンを挙げておきますね。
- <巡回相談>
- 保育所に巡回相談員(小学校の特別支援担当の教諭・特別支援学校教諭など)が、通園先での子どもさんの様子を見にきてくれます。
- <教育調査>
- 特別支援学校や就学先の特別支援学級の利用を想定して、市町村の教育委員会の調査員が子どもさんの発達検査等をとってくれたり、通園先や保護者からの聞き取りを行います。
※教育調査を受けるにあたり、保護者と通園先の間で教育相談があります。 - <専門の医療機関の受診>
- 小児科医からの問診や臨床心理士による発達検査などがあります。
ポイントを絞って先生に聞いてみる

Q:私が心配症なのか、就学前なので子どもの発達にとても敏感になってしまい、いつも通園先の先生に子どもの行動を聞いていますが、ママ友や家族に「聞き過ぎ」と注意されました。でも、心配で…
A:就学という大きな節目を控えた子どもさんの発達に敏感になってしまうのは、当然のことだと思いますよ。先生に「問題ありませんよ」と言ってもらえることで安心したい時期だとも思います。
例えば、先生に「うちの子、今日どうでした?」といった聞き方だけでなく、保育所での子どもさんの様子で知りたいこと、気になるところなどポイントを絞って聞いてみてはどうでしょうか。
先生より具体的な子どもさんの情報が得られやすいかもしれません。
また、保護者の方の中で、例えば「発達障害かも…」「学校生活がきちんと送れないかも…」等ひっかかっていることがあれば、それはストレートに先生へご相談してみたほうがいいと思いますよ。
回答してくれた方のご紹介
オッキー先生
徳島県在住。
療育施設の保育士として19年。保護者の方からの発達に関する様々な相談も担当
最後に…
「気になるところ」といえば気になるけど、年齢的にはこんな感じなのかな?
通園先ではちゃんとできるのに、なんで家では!!!!
就学前は、今まであまり気にしていなかった子どもの行動が、少し気になる時でもあります。
直接、専門家の先生のところへ相談に行く、通園先の先生に相談するなど、「相談する」といってもいろんな方法があります。
今回、お伺いした話の中で出てきた「子どもさんの困り感」が就学後、どれぐらい出てくるかが少しでも心配だったり不安な場合は、通園先の先生や専門家の先生へ早めに相談して、子どもさんの「困り感」や保護者の方のモヤモヤが少しでも解消されて、楽しい小学校生活のスタートを迎えてくださいね。